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第21回スモールトーク
【TSG 竹田総合学院 訪問・交流会】

今回のスモールトークは、文化創造のまちづくりを推進している竹田市のTSG竹田総合学院との交流会でした。
竹田総合学院は、創作活動のできる工房の提供や人材育成、起業を支援する施設として竹田市が4年前に開学したものです。旧竹田中学校校舎を利用した施設は、片面ガラス張りの広々としたエントランスをもつ快適な建物でした。


まず当学院で作家活動をされている皆さんにお集まりいただきTSG談話室で越田会長の挨拶の後、学院の甲斐さんから施設概要の説明あり、お互いの自己紹介を行いました。


それから早速、陶芸家の山田俊吾さんの仕事場を訪ね、ホテルや料亭などでも使用されている小さなストライプが入ったオシャレなお皿のことなどを中心に創作活動やTSGでの生活などについてお話を伺いました。このお皿はもともとはオブジェとして制作したものを、お皿として使いたいというリクエストによって製品化したものですのでお皿としての用途を満たしながらも造形的に美しい逸品でした。



次は彫刻家の森貴也さんの仕事場をお訪ねしました。森さんといえば長崎鼻や大分市美術館などに展示されている鉄の彫刻作品が有名ですが、森さんは学生時代から鐵工所のプロの下で鉄の加工技術を学んでおり、確かな技術と無邪気な少年の心とコンセプチュアルな芸術家の魂をもった若き彫刻家のホープとして県内外で活躍されています。森さんは、これまで関わってきた様々な人たちとコラボ作品を制作していて、正方形で形を統一したその作品は現在も増え続けており千点になるまで続けたいそうです。




次はベテラン陶芸家の甲斐哲哉さんの仕事場にお邪魔しました。甲斐さんはもともとは東京でグラフィックデザインのお仕事をされていたのですが、陶芸に目覚めて東京で陶芸活動をされた後、4年前に故郷の竹田に戻ってこられました。陶芸による版画作品の制作や野焼きでの新しい作品制作など意欲的に陶芸の可能性を追求されています。


次は竹造形の中臣一さんの仕事場を訪ねました。元は音楽教室だったという部屋は、床はカーペット貼りで気持ちが落ち着き、物は整然と片付けられて広々としています。その中に抽象的で美しい中臣さんの作品が置かれていて、まるでギャラリーのような美しく心地よい空間でした。竹を編 むというよりは曲がるという性質を活かした中臣さんの造形作品は針金やプラスチックでは生まれない温かみと自然の命を感じさせる躍動感のあるオブジェで、国内に留まらず国外でも高く評価されています。



次は同じく竹造形の中山秀斗さんの仕事場にお邪魔しました。長谷川さんは竹編みの技術を駆使した本格的な竹工芸の作品が特徴です。伝統的な編組の魅力を活かして、茶道の道具入れから日常のペットボトル入れまで私たちの生活の中に竹工芸の伝統と文化を活かそうと作品制作を続けています。使用する竹の材料も、自分で竹を仕入れてきて「油抜き」という工程からすべて自分で行うというこだわりようです。


最後はテキスタイルデザイナーの末岡美穂さんの仕事場を訪問しました。別府出身で東京からUターンの末岡さんは、自身のブランドとともにcomecomeというブランドで久留米絣(かすり)を使ったもんぺのデザインなどを手がけています。左右のデザインが違うというユニークな末岡さんのもんぺや子供服は、最初は戸惑う人もいますが、実際に着てみると着心地の良さでずっと着たままでいたくなるというのが特徴です。末岡さんは素材に使用する綿を育てたり染料を紅花で作ったりさまざまな実験を試みるなど研究熱心な作家でした。




最後に校舎の前で皆んなで記念撮影をして、創作の話三昧の竹田市でのスモールトークが終了しました。
デザイン協会からの参加者は越田、山本、松村、数野、久保木、今永、佐藤(浩)、渡辺、根之木の9名でした。

(2018.7 写真:山本、文:根之木)